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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 00:57:24.73 ID:qd5PpP4G0

おとめ「って何ですかー?」

ユリカ「わざわざ聞かなくても分かるでしょう?
    3月以降、テレビ『アイカツ!』でどんどん減っていく私達の出番!
    この前のオーディションだって、私達2人だけならともかく、
    新入生と一緒に失格になったのよ! 先輩の威厳なんて欠片もなかったわ!」

おとめ「うぅぅ。確かにあの時はすっごく悔しかったですー」

ユリカ「その悔しさをバネに、今こそ立ち上がる時なのよ!」

おとめ「おとめ、分かりました! 特訓ですね!」

ユリカ「違う!」
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 00:58:44.33 ID:qd5PpP4G0
おとめ「違うんですか?」

ユリカ「そうよ。貴女、番組を観返してみて何も思わないの?
    確かに、アイドルとしてより高みを目指す為、特訓は必要よ。
    けれどそれだけでは、出番の多さは勝ち取れないの」

おとめ「そうなんですか?」

ユリカ「そ・う・な・の!考えてもご覧なさい。スワロウテイルの宣伝周りの時よ。
    貴女はテレビでたくさん宣伝をしていたのに、番組に映ったのはいちごのラジオだけ!」

おとめ「でも、それはこの番組の主役がいちごちゃんだから……」

ユリカ「えぇ。アイドルを目指す女の子達のための、プロモーション番組企画。
    その主役に、アイドルになりたてのいちごが抜擢されるのはまぁ理解できるわ。
    問題は、いちご以外の出番の量よ。
    あのラジオ番組の回、テレビで活躍していた貴女は映らなかった。
    なのに、いちごを応援しているあおいと蘭さんだけはしっかりと映っていたの!」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 00:59:53.09 ID:qd5PpP4G0
おとめ「そう言えばそうでした!」

ユリカ「もっと露骨だったのがオフ回ね。いちご・あおい・蘭さんの3人でオフだなんて!」

おとめ「おとめも一緒にお茶会したかったですー!」

ユリカ「そう、その意気よ。
    とにかく、あの3人と私達との間に差があるのは歴然としているわ。
    なんとしても、この差を埋めて、私達ももっと出番を増やしてもらうのよ!」

おとめ「じゃあ、やっぱり特訓ですー!」

ユリカ「だから違うってば!」

おとめ「でもでも、特訓以外でどうやって頑張れば……」

ユリカ「私達、別段そこまで実力に差があるわけではないのよね。
    この前のオーディションではタイミングを誤ってしまったけれど。
    私は一度はいちごに勝っているし、貴女だって、映画が好評でしょう?」

おとめ「はい! ファンの人にいっぱい喜んでもらえました!」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:00:56.40 ID:qd5PpP4G0
ユリカ「問題はアイドルとしての実力ではないの。
    ではどうすればいいのか。私は録画した番組を何度も何度も繰り返し見て研究し……。
    そしてついに、1つの解答にたどり着いた!」

おとめ「ゆりかちゃん、いちごたん達を研究するなんて凄いですぅ!」

ユリカ「……そこに言及しないでくれるかしら」

ユリカ コホン

ユリカ「私達とあおい・蘭さんとの違い、それはずばり!
    主役であるいちごにアドバイスをしているかどうか、よ!」

おとめ「おー!」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:02:17.69 ID:qd5PpP4G0
ユリカ「あおいは1話からずっといちごと一緒。事あるごとにアドバイスをしているわ。
    蘭さんは途中からだけど、そもそも先輩としての登場だもの。
    ランウェイについて教えるだけでなく、コーチ役もしているわ。
    2人はいちごにとって欠かせないアドバイザー。だから出番も多いのよ!」

おとめ「じゃあ、おとめ達もいちごたんにアドバイスをすれば!」

ユリカ「そう、出番が増える!」

おとめ「番組でもっと甘い物が食べられますぅ!」

ユリカ「どれだけ食べれば気が済むのよ!」

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:03:21.20 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――

おとめ「いちごたん、らぶゆーですぅ!」

いちご「おはよう、おとめちゃん!
    あれ、今日はユリカちゃんも一緒なんだね」

ユリカ「えぇ、偶々ね。
    ところで貴女、今度カップ麺のCMオーディションを受けるんですって?」

いちご「うん。あおいや蘭はパスって言ってたけど。私は受けてみたいなぁって」

おとめ「それじゃあ、おとめがいちごたんに色々教えてあげます!
    食べ物のCMなら、おとめ、たっくさん出てますから!」

ユリカ「この私も、相談にのってあげないこともなくはなくってよ。
    ラーメンには一家言あるのだし……」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:04:33.93 ID:qd5PpP4G0
あおい「朝からおとめちゃんとユリカちゃんがこっちの教室に揃っているなんて。
    穏やかじゃないわね」

おとめ「おはようございます!」

ユリカ「おはよう。今朝は曇っていて何よりだわ。太陽は吸血鬼の敵だもの」

ユリカ(来たわね、最大の壁が!)

いちご「ジョニー先生からの呼び出し、何だったの?」

あおい「ドラマの打ち合わせ時間の変更だって。それで、おとめちゃん達はどうしたの?」

いちご「ほら、私が今度、カップ麺のオーディションに出るから。
    おとめちゃん達が、アドバイスをくれるんだって!」

あおい「へぇ……」チラッ

おとめ(ど、どうしてでしょう。あおいちゃんの笑顔がちょっぴり怖いですぅ)

ユリカ(この私が気圧されているというの!? あおいに?)
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:05:37.26 ID:qd5PpP4G0
あおい「それなら大丈夫よ、いちご。私が昨日の間に、傾向と対策をまとめておいたから」

いちご「さすがはあおい! でも、おとめちゃんたちのアドバイスも折角だから……」

キーンコーン カーンコーン

おとめ「チャイムですぅ!」ダッ

ユリカ「ど、どうやらアドバイスしている暇はなさそうね。それじゃ、私達はこれで」ダッ

いちご「どうしたんだろう。2人共、いつもより慌ててたみたい」

あおい「2年生としての自覚が出てきたって事じゃないかな。
    ほらいちご、これがさっき言ってた傾向と対策のまとめ」

いちご「ありがとう、あおい!」

あおい「いえいえ、どういたしまして。
    他のオーディション参加者が分かったら、そっちの対策も用意しなくちゃね」

あおい(いちごのファン1号、そしてアドバイザー1号の座は誰にも渡さないんだから!)

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:08:23.67 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――


おとめ「さっきのあおいちゃん、怖かったですぅ」

ユリカ「吸血鬼の力を全て使えれば、あの程度の圧力、吹き飛ばして見せるのだけれど。
    ……仕方ない、もう少し地道な手を使いましょう」

おとめ「何をするんですか?」

ユリカ「スペシャルオーディションを受けるのよ!
    私は3度目、貴女は2度目のスペシャルオーディションからしか受けていないから、
    持っている心得の数に差がある……だから、その差を埋めるの」

おとめ「それじゃあ、受けるのは歌の心得が貰えるスペシャルオーディションですよねー!
    好きな曲を歌っていいオーディションなんて、らぶゆーですぅ!
    おとめの一推しは、Angel Snowです!」

ユリカ「ちょっと、この私に♪初雪記念日のKISSしちゃおう!なんてねっ♪なんて歌わせる気!?」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:09:58.31 ID:qd5PpP4G0
おとめ「うわわわわわ~」

ユリカ「な、なによ」

おとめ「歌ってたユリカちゃん、らぶゆーですぅ!」

ユリカ「軽々しくくっつかないで! とにかく、私はAngel Snowを歌う気はないわ!」

おとめ「それならおとめが一緒に硝子ドールを歌います!
    ♪永い物語よ 自分だけに見える鎖に繋がれたまま♪」

ユリカ(意外としっくり来るのが不思議だわ……)

おとめ「それとも、いちごたん達みたいに美月ちゃんの曲を歌いますか?」

ユリカ「いいえ、それよりも今の私達にふさわしい歌があるの」

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:12:14.71 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――

おとめ・ユリカ♪推されたい 推されたい スタッフに推されたい!♪

おとめ♪テレビに出てても 映されない 山登りでも 人が来ない
    名前の順番 四番目です 五十音順なら最初ですよー♪

おとめ・ユリカ♪推されたい 推されたい スタッフに推されたい!♪
       ♪推されたい 推されたい スタッフに推されたい!♪

ユリカ♪アピール遅れて 描写がない 吸血鬼扱いされてない
    気がついたらツンデレ崩れ 設定大事にしてよ!♪

おとめ・ユリカ♪推されたい 推されたい スタッフに推されたい!♪
       ♪推されたい 推されたい スタッフに推されたい!♪

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:15:00.88 ID:qd5PpP4G0
ユリカ♪立ち位置 いつも 端っこ 後ろ♪

おとめ♪髪や羽が 私達隠してる♪

おとめ♪何です!? 何です!? 本当に何でですー!?♪

ユリカ♪出番が少ないわよー!♪


ガチャ
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:17:54.96 ID:qd5PpP4G0
学園長「レッスン室から凄い熱意を感じたから誰かと思って来てみれば、有栖川と藤堂じゃない」

おとめ「学園長ですぅ!びっくりくり~!」

ユリカ「あの、そんなに凄かったんですか? 私達」

おとめ「素のユリカたん、らぶ~!」

ユリカ「学園長が相手なんだから仕方ないでしょう!」

学園長「えぇ。防音はちゃんとしているからそこまでの音漏れはないのだけれど。
    それでも、2人の熱意は傍を通っただけでとっても伝わってきたわ。
    けれど、この曲……」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:21:41.18 ID:qd5PpP4G0
♪~♪~

ユリカ「あ、すみません、今オケを止めますから!」ピッ

学園長「いいのよ。ひょっとして、歌のスペシャルオーディションの練習をしていたのかしら?
    半年以上後のオーディションなのに……そこまで2人がやる気を出してくれて、嬉しいわ」

ユリカ「え?」

おとめ「えぇぇぇぇぇー! 半年以上後ですかぁ!?」

学園長「例の『アイカツ』が今はある程度優先されているから、そうなってしまうのよ。
     あら、どうしたの、藤堂?」

ユリカ「出番が……私達の出番……」

おとめ「ユリカちゃん、しっかりするのですー!」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:24:39.35 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――

ユリカ「オーディションの開催日にまで気が回らなかったわ……」

おとめ「でもおとめ、嬉しかったです!」

ユリカ「嬉しいって……あぁ、学園長に熱意を褒められた事?」

おとめ「ぶっぶー。ハズレですぅ」

ユリカ「じゃあ何なのよ。このユリカ様が聞いてあげているんだから、さっさと答えなさい」

おとめ「そのユリカ様が、一緒にオーディション受けようって誘ってくれたことです!」

ユリカ「そ、それは」カァァ///

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:28:27.22 ID:qd5PpP4G0
おとめ「えへへへへー」

ユリカ「勘違いしないで頂戴。スペシャルオーディションは2人以上の参加が条件だもの。
    貴女に声をかけたのは偶々よ」

おとめ「出番が少ないことを気にかけてくれたのも偶々ですか?」

ユリカ「それは……」

おとめ「おとめ、ユリカちゃんに言われるまで、テレビでの宣伝が映ってない事気づいてなくて。
    でも、ユリカちゃんはちゃんと見ててくれたんですよね!」

ユリカ「出番の量を比較していたら自然とそうなっていただけよ!」

おとめ「照れてるユリカちゃんも、らーぶゆーですぅ!」

ユリカ「気安くくっついてこないで頂戴!」

おとめ「歌のスペシャルオーディション、2人で頑張りましょうね!」

ユリカ 「……寮に戻るわよ……」フィッ
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:31:58.87 ID:qd5pP4G0
―――――

―――

――

いちご「あ、いたいた、おとめちゃん、ユリカちゃん!」

おとめ「いちごたん!」

ユリカ「それに、あおいも……」

いちご「2人のアドバイス聞きたかったから、探してたんだよ。
    夕食の時間にも戻ってこないし、寮の部屋に行ってもいなかったし」

ユリカ「わざわざの出迎え、ご苦労様。
    でも生憎だったわね。私から貴女にあげるアドバイスなんて何もなくってよ?」

いちご「え? でも、朝は」

おとめ「そのままのいちごたんでいいと思うのです!」

あおい「そうね。おとめちゃんの言う通り!
    いちごがいつも通り、オーディションを楽しむのが一番だと思う!」

いちご「そっか……皆、ありがとう! 私、全力で楽しんでくる!」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:37:22.26 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――

蘭「……遅かったな。どこまで迎えに行ってたんだ?」

ユリカ「蘭さん!」

蘭「2人共、夕飯食べてなかっただろ。アイドルは食べるのも大切だっていうのに」

あおい「2人がいない事、蘭ってばすっごく心配してたんだよ」

おとめ「そうなんですか?」

蘭「そんな事ない!」

あおい「これが心配してソワソワしている蘭の画像。かなりレア!」

蘭「いつの間に! 消せ、今すぐ消すんだ!」

あおい「こんなレア画像、消したらアイドル博士の名がすたる!」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:46:20.93 ID:qd5PpP4G0
いちご「後で私にもこっそり見せてね、あおい」

おとめ「おとめも見たいです!」

ユリカ「このユリカ様も、見たくなくないこともないわ」

蘭「おい!」

あおい「分かった! 後でこっそり、ね」

蘭「……もういい。ほら、これ」

おとめ「これは……」

蘭「何があったのかは後で聞く。だからまずはオムライス食べな」


おとめ・ユカ「いただきます!」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:52:42.11 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――

おとめ「美味しかったですぅ!」

ユリカ「そうね。この私の口に合っていたと言わないこともなくはなくってよ」

いちご「それで、どうして2人でこっそり特訓してたの?」

おとめ「それは、『アイカツ』での出むぐぅ」

ユリカ「歌のスペシャルオーディションに向けて、軽く打ち合わせしていただけよ」

おとめ(出番の事は言わないのですか!?)

蘭「アイドルとして高みを目指す為に努力する、アイドルの基本姿勢だな」

いちご「おとめちゃんもユリカちゃんも、歌の心得、まだ持ってないもんね」

あおい「2人なら、受かるわ! 天然と吸血鬼のコンビ……穏やかじゃないもの!」

ユリカ「当然でしょう。このユリカ様が、落ちるわけないじゃない。それじゃ」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:57:48.15 ID:qd5PpP4G0
―――――

―――

――

おとめ「出番の事、皆には内緒なんですか?」

ユリカ「正面切って言えるわけないじゃない。それに……」

おとめ「それに?」

ユリカ「出番の多さなんて、何だかどうでも良くなってきてしまったわ。
    六百年生きてきたこのドラキュラ伯爵の末裔が、気にするような事ではないのよ。
    それに……たとえ『アイカツ』の出番は少なくても、見てくれているファンはいる」

おとめ「はい! おとめ、いっぱい、いーっぱい、応援されて嬉しいです!」

ユリカ「だから、今日の事は忘れなさい。ユリカ様からの命令よ」

おとめ「えーと、おとめ、その命令は聞けないですぅ」

ユリカ「貴女、小娘の分際でこのユリカ様の命令に背くって言うの?」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 01:59:54.25 ID:qd5PpP4G0
おとめ「出番の事は忘れます。でも、歌のスペシャルオーディションは忘れたくないです。
    おとめ、ユリカちゃんと一緒に出て、一緒に歌の心得を貰いたいです!」

ユリカ「」カァ///

おとめ「ユリカたん、顔が真っ赤でりんごみたいですぅ!らぶゆー!」

ユリカ「うるさいわね! それ以上言うと血を吸うわよ!
    それと、私とオーディションを受けるというなら、何を歌うか考えておきなさい。
    さっき練習した曲、以外で」

おとめ「はーい!」



2人が揃って歌の心得をもらうのは、きっと語られないであろう、また別の話――――


おわり

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/03(金) 04:14:31.59 ID:qd5PpP4G0
忘れてた
おとめとユリカが練習してた歌の元ネタ 

元スレ
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1367510244/