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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:31:01.24 ID:a0CjjkoQ0
さくら「ユリカ様、どうかこの私に、ご指導下さいませ!」

ユリカ「何よ、急に」

さくら「昨日のオーディションでのユリカ様の言葉が、ずっと頭から離れないのです。
    泣き言を言う私に、厳しく諭していただいて……。
    その後の、キャラクターを貫き風に吹かれていくご様子も、鮮明に覚えております」

ユリカ「そっちは出来ればすぐにでも忘れてもらいたいのだけど」

さくら「ユリカ様が仰るのならそうします! ですので、何卒私にご指導の程を!」

ユリカ「そう言われても」

さくら「ユリカ様のレッスンなどを拝見させて頂けるだけでいいのです。
    決してユリカ様のお邪魔は致しませんから!」

ユリカ「そ、そう……その位なら、まぁ許してあげないこともなくもないわ」

さくら「ありがとうございます!」
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:31:51.40 ID:a0CjjkoQ0
さくら「やはりアイドルの基本はランニングですね!
    ランニングの時にも日傘を手放さないなんて、流石はユリカ様です」

おとめ「それじゃあ、これから3人でエンジェリーマウンテンまでレッツゴーなのです!」

ユリカ「ちょっと待ちなさい!貴女、まさか私だけでなくおとめにも……?」

さくら「はい!オーディションで常にいちご様と共に先陣を切っていたその姿勢に感動いたしまして。
    私も体力には自信があったのですが、まだまだだと気付かされたのです。
    それで、おとめ様にもご指導頂ければと」

おとめ「努力家なさくらたん、らーぶゆーですぅ!」

ユリカ「一抜けた」

さくら「そんな、ユリカ様! 私、何か粗相をしましたでしょうか」ウルウル

ユリカ「そうじゃなくて! 私は、その……おとめのランニングには付き合えないのよ。
    この子達のせいで大分体力はついてきたけれど、おとめの体力は段違いだもの。
    ……あぁ、勿論人間としては、の話よ。私も吸血鬼としての力が使えれば良いのだけれど」

おとめ「あたふたしてるユリカたん、ギャップらーぶ!」

ユリカ「そこ、茶々を入れないでくれる!?」
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:32:50.24 ID:a0CjjkoQ0
さくら「申し訳ございません。やはり御二人に同時にご指導頂こうとした私がいけませんでした」

ユリカ「そんな事はないわ。
    自分を高める為に、より多くのものを吸収しようとする姿勢は間違っていないもの。
    ただまぁ、ごく普通のレッスンを3人一緒に、というのはやはり難しいでしょうね。
    私のアイカツの中心は、吸血鬼としてのキャラ作りだし」

おとめ「おとめは、走るのと甘いものを食べるのが大好きなのです!」

さくら「分かりました!
    それでは、今日はユリカ様の、明日はおとめ様のレッスンにご一緒させてください。
    そうして少しずつ、御二人から色々な事を学ばせて頂きたいのです。
    我が儘と承知しておりますが、どうかお願いします」

ユリカ「私はいいけど……」

おとめ「それじゃあ、おとめは走ってきまーす!さくらたん、また明日!」

さくら「はい、よろしくお願いします!」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:33:47.62 ID:a0CjjkoQ0
さくら「ユリカ様、仰っていたものをお持ちしました」

ユリカ「ありがとう」

さくら「ですがユリカ様、にんにくラーメンの出前にアイドル活動とどのようなご関係が?」

ユリカ「……」

さくら「ユリカ様?」

ユリカ「……大好物なの」

さくら「え?」

ユリカ「さくらはまだ知らないでしょうけど、私はこのにんにくラーメンが大好きなのよ。
    でも、吸血鬼はにんにくが弱点でしょう?
    だから、こうして部屋でこっそりと食べるの。ファンをガッカリさせないためにね」

さくら「素晴らしいです、ユリカ様!
    自分を応援してくれるファンの為、自分の好物をこうして隠れて食べているなんて……。
    日常生活でもファンを大切にするそのお心が、アイドルとしての心構えの1つなのですね!」

ユリカ「え、えぇ」

ユリカ(実は前に1度スキャンダルになったなんて言えないわね、これは)
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:34:46.65 ID:a0CjjkoQ0
おとめ「それじゃあ今日こそ、エンジェリーマウンテンまで走るのですぅ!」

さくら「はい、おとめ様!」

おとめ「アイ、カツ! アイ、カツ!」

さくら「アイ、カツ! アイ、カツ!」

おとめ「さくらたん、ちゃんと走れてますよ?」

さくら「一応、学園に合格した時に走り込みをしておりましたから……」

おとめ「なら、今度はこの斜面から滑るのです!」

さくら「こ、ここからですか!? かなりの高さがあるのでは」

おとめ「大丈夫なのです。この前転んだ時も、尻餅ついただけでした!」

さくら「成程、勇気を出して自分の限界を越えようとする事で、より体力をつける事が出来るのですね!
    おとめ様、ならばさくらも共に参ります!」

おとめ「では行くのです。ラブはパワー!」

さくら「ら、らぶはぱわー!!きゃぁぁぁぁぁぁ!」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:35:49.17 ID:a0CjjkoQ0
おとめ「さくらたん、大丈夫ですか?」

さくら「ご心配お掛けして申し訳ございません。
    保健の先生のお話では、少し足首を捻っただけなので、すぐに治るとの事です」

おとめ「良かったです!」

ユリカ(この前、付いていかなくて本当に良かったわ……)

ユリカ「とにかく、私達がさくらに色々教えるにしても。そのやり方を考え直す必要があるわね」

さくら「私の事でしたらどうぞお気になさらないで下さい。今回は私の不注意で」

おとめ「さくらたんは悪くないのです!でも、どうしてそんなに焦っているのですか?」

さくら「そういう風に、見えますでしょうか?」

ユリカ「私達2人に、同時に教わりたいだなんて。貴女の当初のトレーナーはいちごでしょう?
    いちごがトライスターのオーディションにかかりきりだから今は無理でしょうけど。
    貴女が急いでいないなら、オーディションが終わるまで待てばいいだけじゃない」

おとめ「ユリカたんの言う通りなのです。
    一生懸命なさくらたんはらぶゆーだけど、今のさくらたんはケガがなくても心配ですぅ」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:37:17.60 ID:a0CjjkoQ0
さくら「本当に、申し訳ありません……私自身、焦っていたなんて自覚がなかったのです。
    ですが、御二人のご指摘で分かりました。
    私はどうやら、すぐにでも結果が欲しいと焦っていたようです」

おとめ「結果って何ですか?」

ババン

ユリカ「北大路劇場!?」

さくら「学園にきたその日から 注がれてきた期待の眼差し
    新入生ファッションショーも 優勝候補と期待され
    されど幾度と重なっていく、敗退、そして予選落ち
    足りないものがあるのならば すぐに得たいと思うは人の業
    先輩方から色々学び 必ずや結果を出してみせーますーるー」

ススッ

ユリカ「……周囲の期待があったから、それに応えたかった、ということかしら」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:38:13.33 ID:a0CjjkoQ0
さくら「ユリカ様の仰る通りです。そこまで意識はしていなかったのですが」

おとめ「でもでも、スペシャルオーディションではちゃーんと合格したのです!
    さくらたんは、今のままでもらぶゆーなのです!」

さくら「ありがとうございます、おとめ様。
    ですが、自覚してしまった以上、このままではいられないのです。
    周りの目だけではなく、何より、自信がもてない自分自身の為に!」

ユリカ「それなら、こんなまどろっこしいやり方よりも、もっと単純な方法があるじゃない」

さくら「と、言いますと?」

おとめ「おとめ、閃いたのです! 3人でオーディションを受けるのです!」

ユリカ「それ、私が言おうとしたのに!」

さくら「私が、御二人と一緒に?」
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:42:27.30 ID:a0CjjkoQ0
ユリカ「そうよ。貴女、私の言葉に感銘を受けたと言っていたわね?」

さくら「はい!」

ユリカ「あの時も言った通り、オーディションは真剣勝負の場。
    そのオーディションに臨んだ時こそ、アイドルが大きく成長できるチャンスよ。
    勝ち負けに関わらず、ね」

さくら「勝ち負け……」グスッ

おとめ「さくらたん、泣いちゃダメです!」

ユリカ「実質、これが本来のアイカツ、オーディションの初戦のようなものなのだから。
    これまでの事は考えずに、これからの事を考えることね」

さくら「これからの事を、考える……そうですね」

ユリカ「そうと決まれば、まずは受けるオーディションを決めましょう。
    そうしたら、改めて特別レッスンよ!」

おとめ「さくらたん、一緒に頑張るのです!」

さくら「ユリカ様、おとめ様……ありがとうございます」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:43:32.31 ID:a0CjjkoQ0
おとめ「ちょうどいいオーディションがあったのですぅ」

ユリカ「見せてご覧なさい。……新作アイスクリームのCMか」

さくら「参加条件はトリオですね」

おとめ「あまーいアイスも食べられるし、3人で受けられるし、お得なのです!」

ユリカ「一部私情が入っているのが気になるけれど、これで決まりね。
    さくら、足はもう平気なの?」

さくら「はい! ダンスレッスンもしていいって太鼓判を頂きました!」

おとめ「それじゃあ、早速エントリーして、今日から特訓の開始ですね!」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:44:47.88 ID:a0CjjkoQ0
おとめ「『アイドル活動』歌うの久しぶりな気がします!」

ユリカ「この曲は、オーディションでよく課題曲に選ばれるの。
    歌も振りも、きちんと身につけておきなさい
。但し、先々に慣れで歌い踊ってはダメよ?」

さくら「はい!」

おとめ「元気いっぱいなこの曲で、皆にラブを届ける気持ちで歌うのですぅ!」

さくら「全力で歌います!」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:45:48.53 ID:a0CjjkoQ0
ユリカ「この前もそうだったけれど、さくらは振りを覚えるのが早いと言えなくもないわね」

おとめ「ステップもテンポも完璧ですぅ。でも、もーっと弾けてもいいと思うです!」

さくら「弾ける、ですか?」

ユリカ「確かに、ところどころ動きが小さくまとまり過ぎね。もう1度最初からしましょう。
    腕をちゃんと伸ばしていなかったら、血を吸うわよ?」

さくら「血を吸われないように、頑張ります!」

おとめ「その意気ですぅ!」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:46:49.77 ID:a0CjjkoQ0
おとめ「今度は普通にグラウンドでランニングですぅ!」

さくら「基礎体力の向上は必要ですものね!アイ、カツ! アイ、カツ!」

ユリカ「アイ……カツ! アイ……カツ……」

さくら「おとめ様!ユリカ様が日傘を持ったままお倒れに!」

おとめ「たいへーん! さくらたん、今すぐトマトジュースを!」

さくら「はい!待っててくださいね、ユリカ様!」

ユリカ「血が……血が足りない……」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:49:11.24 ID:a0CjjkoQ0
さくら「いよいよオーディション本番ですのね……合格、出来ると良いのですが」

ユリカ「背筋を伸ばしなさい。このユリカ様が一緒なのよ?不合格なんてありえないわ」

おとめ「おとめ達と一緒に、たーくさんのラブを届けに行くのですぅ!」

さくら「そうでしたね。私のこの熱い気持ちを、皆さんに届けてみせます!」


さくら♪さぁ行こう 光る未来へ ほら~♪
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/19(水) 21:52:12.36 ID:a0CjjkoQ0
司会者「選考の結果、CMへの出演権を手にしたのは、北大路さくら、有栖川おとめ、藤堂ユリカ!」

さくら「やりましたわ!」

おとめ「すーっごく嬉しいですぅ!」

ユリカ「このユリカ様が出たのだもの。当然の結果ね」

さくら「おとめ様、ユリカ様、この度は、本当にありがとうございました。
    尊敬している御二人にここまで良くしていただいて、私は本当に幸せ者です。
    私は、大きな一歩を踏み出すことができました!」

おとめ「嬉し涙のさくらたん、最高に輝いてます!らぶゆー!」

ユリカ「泣いている場合じゃないわよ。オーディションに受かればそれで終わりじゃないんだから」

おとめ「その通りです!CM撮影も一緒に頑張るのですよ、さくらたん!」

さくら「はい! 御二人と一緒なら、どこまでも頑張れます!」

さくら(口にはできそうにないですが、せめて心の中ではこう呼ばせてください……お師匠様、と)
END
元スレ
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