2
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:00:31.11 ID:q16vqtks0
さくら「蘭様がいないと、昼食も少し寂しいですね」

ユリカ「……」

いちご・あおい チラッ

いちご「そ、それよりさくらちゃん。次に受けるオーディション、決まったんだって?」

さくら「はい。新しい浴衣のキャンペーンガールオーディションです」

あおい「まさに、さくらちゃんの為にあるようなオーディションね」

おとめ「和服のさくらちゃん、らぶゆーです!」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:01:28.34 ID:q16vqtks0
さくら「ですが、ファッションショー形式のオーディションにはまだ自信がなくて。
    できれば、モデル歴の長い蘭さんにご指導頂きたかったのですが」

ユリカ「……」

いちご「だ、大丈夫だよさくらちゃん! 私達だって何度かファッションショーに出てきたから。
    困った事とか色々相談に乗るよ、ね、あおい?」

あおい「そうそう。浴衣のキャンペーンガールは毎年恒例だから、傾向と対策はバッチリよ!」

いちごあおい チラッ

ユリカ(2人がちょくちょくこっちを見ているのが気になる……)
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:02:39.23 ID:q16vqtks0
いちご「アイ・カツ!アイ・カツ!」

ユリカ「ちょっと、いちご!」

いちご「あ、ユリカちゃん。どうしたの?」

ユリカ「どうしたも何も。今日の昼休憩の時の事よ。
    あおいと一緒に、やたら私を気にしてたじゃない」

いちご「そそそ、そんな事ないよ」

ユリカ「嘘おっしゃい。600年生きてきたこのユリカ様に、そんな誤魔化しが通用すると思っているの?」

むにむにむに

いちご「ひゅひぃひゃひゃん、ほっふぇひぅふぁふぁふぁいふぇ」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:03:42.65 ID:q16vqtks0
ユリカ「血を吸われないだけマシだと思いなさい。
    どうせ、蘭さんがいない事で私が寂しがってるとでも思っているのでしょう?」

いちご「違うの?」

ユリカ「むしろいちごはどうなのよ。差し入れまで送ったんでしょう。寂しくないの?」

いちご「寂しいよ」

ユリカ「あっさり頷くのね、貴女……」

いちご「メールもあまり返ってこないし。
    お昼の時みたいに、空いた席があるとやっぱり気になっちゃうし。
    でもね、蘭は今頑張っているんだから。
    寂しいって思うよりも、頑張れって思わなきゃって、あおいと話してるんだ」
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:05:38.88 ID:q16vqtks0
ユリカ「成程、そんな事をあおいと話していたのね」

いちご「メールの返信があまりないのだって、蘭がそれだけ忙しくてアイカツ頑張ってるって事だもん。
    だから、あたしも蘭に負けないぐらい頑張って、いつかどこかの仕事先で会うんだ!」

ユリカ「……そう」

いちご「だから、ユリカちゃんも寂しがってばかりいないで」

ユリカ「誰が寂しいなんて言ったの?
    私は600年の時を生きる吸血鬼の末裔。人間との別れを気にする訳ないじゃない」

いちご「ユリカちゃん?」

ユリカ「太陽の光が強いから、棺桶に一旦戻る事にするわ。
    夏なんて早く終わればいいのに。それじゃ」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:06:42.47 ID:q16vqtks0
あおい「収録長引いちゃったな。せめてサンドイッチでも……あれ、ユリカ様」

ユリカ「あおいじゃない。仕事帰り?」

あおい「うん、そう。ユリカ様は、お忍びでにんにくラーメンなんだ」

ユリカ「うっ……それより、ちょっと此処に座りなさい。訊きたいことがあるの」

あおい「ユリカ様から誘われるなんて、穏やかじゃない!」

ユリカ「貴女、私が蘭さんがいなくなって寂しがってると思ってるでしょう?」

あおい「あぁ、昼間のアレでバレちゃったんだ」

ユリカ「いちごにも問いただしたんだけど。あおいこそ、蘭さんがいなくなって寂しくないの?」

あおい「そりゃあ、会えないのは寂しいかな。
    でも、テレビを付けたら、今はどこでもトライスター、つまり蘭の話題で持ちきりでしょ。
    録画するのが追いつかないくらいで、いちごにも手伝ってもらっててさ」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:07:40.42 ID:q16vqtks0
ユリカ「アレを全部録画しようとしてるなんて……流石アイドル博士」

あおい「直接会えないのは寂しいけれど、テレビや雑誌なんかで、蘭にいつでも会える。
    それって、凄いと思わない?」

ユリカ「そりゃあ……凄いと言ってあげないこともないかしら」

あおい「テレビで観る蘭は、私達に見せる顔とは違う、アイドルとしての紫吹蘭だけど。
    輝いている蘭を見れば、その向こうに、ひたむきに頑張ってる蘭の姿が見える気がするの。
    そんな蘭を想像していたら、寂しがるより、こっちも頑張ろうっていう気になる。
    それに、トライスターのオーディションを受けていた時点で、少しは覚悟してたから」

ユリカ「覚悟か、そうよね」

あおい「ユリカ様?」

ユリカ「食べ終わったから、先に行くわ。それじゃ」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:08:52.40 ID:q16vqtks0
さくら「ユリカ様。大浴場でお会いするなんて、珍しいですね」

ユリカ「そうね。そのジャージ姿……ひょっとして、さっきまで特訓していたの?」

さくら「はい。最初はいちご様にアドバイスを頂きながら、特訓をしていたのですが。
    夕食を取った後は、1人で少し特訓をしておりました」

ユリカ「殊勝な心がけね。いい事だわ。ただ、無理は禁物よ」

さくら「はいっ!ありがとうございます!
    それにしても、蘭様はやはり凄い方ですね」

ユリカ「いちごから何か聞いたの?」

さくら「はい。ランウェイに関するアドバイスを頂きました。元は蘭様からの教えだそうで。
    ランウェイは自分1人ではなく、多くの関係者の皆様の思いの込められた場所であり。
    そして、デザイナーさんが生み出した服を輝かせることがモデルの仕事なのだと」

ユリカ「モデルの仕事が多かった蘭さんらしいアドバイスね」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:10:12.19 ID:q16vqtks0
さくら「それで、あの……私、ユリカ様に謝らなければいけない事が」

ユリカ「何よ。言ってご覧なさい」

さくら「いちご様から、ユリカ様は蘭様がいなくなって大変寂しがっていると伝え聞きまして。
    それなのに私、昼休みでも、それに今も、蘭様の話ばかりしてしまって。
    本当に申し訳ございません、ユリカ様!」

ユリカ(いちご……余計な事を!)

ユリカ「それが、どうして謝る理由になるのかしら」

さくら「え?」

ユリカ「たとえ会えなくても、蘭さんは一緒にアイカツしてきた仲間だもの。
    仲間の話をする事の、どこがいけないというのかしら」

さくら「会えなくても、仲間……そうですね、仰る通りです!」

ユリカ「第一話題にしなかったところで、テレビでも雑誌でも、否応なくトライスターを見かけるのよ。
    そういうのに逐一反応して寂しがっていたら、キリがないじゃない。
    寂しがっている暇があったら、きちんとアイカツすべきだわ。
    トライスター程ではなかったとしても。私達にもファンはいるのだから」

さくら「はい!」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:11:40.64 ID:q16vqtks0
ユリカ(なぁんて言ったものの……)

テレビ『本日のゲストは、話題沸騰!トライスターの皆さんです』

ピッ

テレビ『好調な滑り出しを見せているトライスターに密着取材!』

ピッ

ユリカ(本当に、テレビを付けたらトライスターばかりだし……)

ユリカ(こんなにたくさん蘭さんを見ているのに、とても遠いなんて)

コンコン

ユリカ「誰?」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:12:57.67 ID:q16vqtks0
おとめ「ゆりかたん、こーんばーんはーですぅ!」

ユリカ「おとめ? 珍しいわね、こんな遅くに。入っていいわよ」

おとめ「お邪魔しまーす! うわぁ! トライスターの載ってる雑誌がいっぱいです!」

ユリカ「こ、これは偶々よ! 今は多くの雑誌でトライスターを扱っているから」

おとめ「テレビもトライスター特集ですけど、これは昼間あった番組ですよ?」

ユリカ「そ、それは」

おとめ「ユリカたん。蘭ちゃんがいなくなって、寂しいですか?」

ユリカ「別に、そんな」

おとめ「寂しくないのですか?」
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:14:10.65 ID:q16vqtks0
ユリカ「……ない」

おとめ「ユリカたん?」

ユリカ「寂しくないわけがないでしょう!
    だって、バレンタイン過ぎくらいからずっと一緒で、ランニングの時に日傘持ってくれて!
    絡みづらいとか言いながら、結構助けてくれて! 
    一緒にレッスンしたり、オーディション受けたり、仕事したり、たくさん、たくさん!
    なのに、急にもう会えなくなるなんて!」

ユリカ「いちごやあおいが言いたい事は分かるわ。寂しがってばかりじゃダメだって。
    蘭さんはトップアイドルの階段を駆け上がって行ってる。
    それを追いかけるくらいの気概を持たないと、蘭さんに合わせる顔がない!
    それに……アイカツをしている以上、いつまでも一緒なんて難しいって事だって知ってるわ」

ユリカ「それでも、それでも寂しいの! 寂しいのよ……」グス

おとめ「ユリカたん……」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:15:40.58 ID:q16vqtks0
ユリカ「ごめんなさい、取り乱してしまうなんて。今のは忘れて。
    それより貴女、何か用があったんじゃないの?」

おとめ「ユリカたん、おとめとユニット組みましょう!」

ユリカ「はぁ!?」

おとめ「ユニットを組んだら、スプラッシュやトライスターみたいにいつでも一緒です!
    ……こんな風に、いきなりお別れなんてならなくていいのです!」

ユリカ「……おとめも寂しいのね。蘭さんに会えなくなって」

おとめ「蘭ちゃんは素敵なのです。噴水に落ちたおとめを助けてくれて。
    それから一緒にオーディション受けたりして、ずっとこのままだって思ってたのに。
    いきなりお別れになって、おとめ、胸がギューッて!」

おとめ「もうこんな思いはしたくないのです。だからユリカたん、おとめと一緒に!」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:17:01.65 ID:q16vqtks0
ユリカ「悪いけど、それは無理ね」

おとめ「ユリカたん、おとめのこと嫌いなのですか?」

ユリカ「そ、そういう問題じゃないでしょう。
    トライスターオーディションの前に、貴女、どんなユニットを組みたいって言ってた?」

おとめ「世界中にラブを届けるユニットですぅ!」

ユリカ「私は自分と同じ永い時を生きる下僕を探している吸血鬼の末裔なのよ。
    方向性が全く違うんだから、ユニットを組める筈がないでしょう」

おとめ「そんなぁ」

ユリカ「それに、私は今回の事で痛感したわ。
    トップアイドルを目指している以上、ずっと一緒という訳にはいかないんだって。
    仲間であると同時に、ライバル。私達はそういうものなのだから。
    私は結局、その覚悟がなかったのよね。それは貴女も同じなのよ」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:18:14.14 ID:q16vqtks0
おとめ「ユリカたんの言う事、間違ってないとは思うのです。
    でもやっぱり、おとめはユリカたんと離れたくないのです!」

ユリカ「思い切り矛盾してるじゃない。
    ……でも私も、おとめと会えなくなるのは嫌……と思わない事もないかしら」

おとめ「ユリカたん!」ギュ

ユリカ「ちょ、ちょっと離しなさい!血を吸われたいの!?」

おとめ「はい!」

ユリカ(そうだった……この子はこういう子だったんだった……)

ユリカ「まぁいいわ。とりあえず、今日はもう遅いから」

おとめ「お泊りしてもいいですか?」

ユリカ「お泊りですって!?」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:19:34.69 ID:q16vqtks0
おとめ「実は、ちゃーんとお泊り用にお布団持ってきたのです!」

ユリカ「どこに隠し持ってたのよ!……仕方ないわね。今日だけよ、今日だけ」

おとめ「はーい♪」

ユリカ(本当に、この子といると調子が狂うわ……ユニット組むなんて無理よね)

ユリカ(そう言えば、美月さんが言っていたわね。1人でも強く輝けるアイドルでなければって)

ユリカ(もし私が、1人でも強く輝けるアイドルに……トップアイドルになれたなら)

ユリカ(その時は、例えばおとめとユニットを組んでも、いいのかもしれない)

ユリカ(トライスターだって、個性がバラバラと言えなくもないんだし)

おとめ「ユリカたん、ぼーっとしてたら先に寝ちゃいますよ?」

ユリカ「って、何で私が使っている方のベッドにいるのよ!」

おとめ「だって、あっちはユリカたんの大事な棺桶があるのですぅ」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/24(月) 01:20:40.63 ID:q16vqtks0
ユリカ「そ、そうだったわね。……ねぇ、おとめ」

おとめ「何ですか?」

ユリカ「明日から、改めてアイカツするわよ。まずは、オーディションを受けなくちゃ」

おとめ「目指すはトップアイドルです!」

ユリカ「もしトップアイドルになれたら、その時は……いえ、何でもないわ」

おとめ「その時は、何ですか?」

ユリカ「何でもないって言ってるでしょ」

おとめ「隠し事なんてひどいですぅ!そんなユリカたんにはお仕置きです!」

ユリカ「うわ、ちょっと、くすぐらないで! 脇腹は弱いんだからぁ!」
おしまい
元スレ
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